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zoom RSS レイラ・ハザウェイ / outrun the sky

<<   作成日時 : 2005/01/14 03:37   >>

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 なんで彼女がこんなにも待たされなくてはならなかったのか、よく解らないのが僕の本音だ。

 去年の秋、僕のフィバリット・シンガー、レイラ・ハザウェイは待望の3rdアルバム『outrun the sky』 をリリースしてくれた。彼女のソロアルバムの発表はなんと前作から10年振りのことだ。1990年にソロデビューして以来、その味わい深く美しい声と歌唱力は誰もが認めるところなのだが、彼女をして14年でアルバムがたったの3枚。僕にはこのレイラに対する厳しい現状が、アダルト・コンテンポラリ・ミュージック全般のここ10年の現況をそのまま反映しているように思えてならない。


 年末にリリースされたリー・リトナーのDVD作品『OVERTIME』に妹ケニヤが参加した話の時にも触れたのでまた繰り返しになるが、彼女は故ダニー・ハザウェイの娘という、R&Bシンガーとしては飛び切りの血統、遺伝子を父から引き継いでいる。ソロアルバムは前述のように3枚のみだが、デヴィッド・サンボーン、マーカス・ミラー、ハイラム・ブロック、ジョン・トロペイ、ジェラルド・アルブライト、アート・ポーター、グローバー・ワシントン,JR.と枚挙に暇が無いほど超一流のミュージシャンからステージやアルバムでフィーチャされて来た。特にジョー・サンプルの1999年作『THE SONG LIVES ON』ではふたりのデュオ・アルバムという扱いで大々的に起用され、かつてのクルセイダース+ランディ・クロフォードの相性に劣らぬ好評を博している。

 まあ、そのデュオ・アルバムからすれば今作は5年ぶりの新作なんだとも考えられなくも無いが、彼女の声を愛する者としては94年のセカンド『a MOMENT』からの10年は本当に長かった。あの頃のブラック・ミュージックはニュー・ジャック・スイング路線が終焉を迎えていて更にHIP-HOPやDANCE色が強まって行った時期だ。レコード会社も若年指向のその方向へ全面的にシフトしR&B界も大きく変質して行ってしまった。日本では特に「ア−・ラン・ビー」なんて言う、とっても断片的かつヘンテコリンな「なんちゃってHip」が流行し、R&Bの意味する音楽自体が全く変わって行ってしまったのもこの頃からのこと。

 結局のところこれはアメリカでも似たようなものだったのかも知れない。短時間に大きなムーヴメントに成りにくいオトナ相手の商売をするよりも、一度火が点いたら右へ倣えの若者を相手にした方がゲームとしてはオイシイに決まっている。このため、レイラのような本質的に「歌」で勝負をするアダルト指向のブラコン系やR&Bシンガーの市場での供給は徐々に少なくなり、その需要も次第に大きく減衰して行ったのだ。80年後半から90年前半にかけて活躍していたシンガーの多くが次々オファーを無くし、次第にその露出が薄れていく中、それでもレイラが生き残って来られたのは前述のようにセッション・ボーカリストとしてjazz/fusionに近いスタンスをとっていたから、と言っても差し支えないだろう。これは大きなヒットは持たないものの、コンスタントにアルバム・リリースを重ねるウィル・ダウニングやフィル・ペリーにも共通している現象だ。

 しかしこう考えてみると、消えていったシンガー達の主たるリスナーだったハズの、ジャスやフュージョンに興味のないフツーの30〜40代のアフリカン・アメリカンのオトナたちは、今はいったいどんな音楽を聴いてるんだろうね?。


 今回の、このレイラの作品には奇をてらった派手な曲や、凝ったサウンドの作り込みなどは特に何も無い。もともと彼女の過去のアルバムには、チャッキー・ブッカーらが作るニュージャックスイング風のものから、ラッセル・フェランテらが参加したフュージョン色の強い楽曲までが一緒に並んでいた。だが今回はビートを強く印象付ける曲も無い代わりに、ジョー・サンプルとのデュオのように一聴してジャズを色濃く感じさせる曲も無い。

 これは2002年の5月にmotion blueで観たときの彼女のライブの感覚と同じものだ。セルフ・プロデュースが増えた事でも理解出来るが、これが現在の彼女の音楽嗜好そのものなんだろう。ちょっとjazzyな味付けのブラック・コンテンポラリー。80年後半から90年前半の、ブラコンとフュージョンに境のほとんど無かったあの時代の音。そんな造りが彼女と同世代の僕には妙にホッと出来る。

 タイトルチューンのE“Outrun the Sky”、アルバム後半のI“STRONGER”以降に見られる自作曲、長年の付き合いのキーボディスト、デヴィッド・デロームとの共作曲でのナチュラルな彼女の歌いっぷりはまさにレイラの真骨頂。安心して気持ち良く彼女の声に身を委ねている僕が居る。特に、若き青春の日々をバークリーで過ごした彼女がエレピの柔らかな調べに乗せてしっとりと歌うラスト、L“BOSTON”の甘酸っぱさが堪らない。


  普段、好きなアーティストのアルバムが売れようが売れまいが殆ど関心が無かった僕だが、出来る事ならこんなレイラの作品を多くの人に聴いて貰いたい。彼女の音楽がこれからもずっと人前に出せるチャンスを失わないために。そして僕らの世代が、安心して聴ける新しい音楽をこの先もずっと無くさないために。聴くものはすべて過去の音源ばかりなんて、そんな未来は悲し過ぎるよね。

Lalah Hathaway web site : <a Href="http://lalahhathaway.com/"target=_brank>http://lalahhathaway.com/
Outrun the Sky
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
TB&コメントありがとうございます。
レイラに関する記述が奥深くて、大変参考になりました。
ジョー・サンプルとのデュエット・アルバムは聴いてないのですが、良さそうですね!
マーカスとやってる「ラウンド・ミッドナイト」がとっても好きなので、レイラの歌うジャズ、興味あります。

新譜の「ボストン」いいですね、切なくて。
K-FUNK
2005/01/19 22:58
K-FUNKさん、コメント頂きましてありがとうございました。
サンプルとの作品は、かつてJTのCMで使われた“NIGHT AND DAY”ほどストレートにjazzではありませんが(ライターの工藤由美さん曰くジャジーなR&B)、レイラがお好きなら必ずお気に召して頂けると思います。ランディ・クロフォードの80年作『NOW WE MAY BEGIN』に収められていた“ONE DAY I'LL FLY AWAY”をやってるんですが、そこでのレイラは絶品です。是非聴いてみて下さいね。カーク・ウェイラムのテナーの絡み具合もほんとに気持ちいいですよ。
yk2
2005/01/20 19:29

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