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zoom RSS The Cole Porter Story〜五線譜のラブレターより

<<   作成日時 : 2005/04/11 18:10   >>

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 ちょっと前の話になってしまうので恐縮でございますが、先月の旅行の折に機内で作曲家コール・ポーターの半生を描いた映画『五線譜のラブレター』を観ました。退屈しのぎにレイ・チャールズの「レイ」と立て続けに2本観たので、途中所々で眠くなってウトウトしてしまい、残念ながら「ちゃんとに観た」とは言い難いのですが・・・(汗)。

 僕はコール・ポーターの作品に大好きな曲が何曲もあるので、とても興味深く映画を観ることが出来たのですが、この作品に対する日本での一般的な評価ってどうだったのかなぁ?。この映画を観に行った人って、やっぱりミュージカル・ファンとジャズ・ファンがほとんど??

 そして、観られたあなたはどんな感想をお持ちになられたでしょうか

 有り体に言ってしまうと、僕はこの映画でちょっと軽い嫌悪を伴う衝撃を受けてしまいました。今までの僕は、彼が上流階級出身であり、生涯ミュージカルや映画音楽でヒットを飛ばし続けた、と言う事実の他は何ひとつ知らなかったのです。


 コールと言えばやはり洗練されたラブソングのイメージが僕には有ります。夜も昼もどうしてこんなにあなたが恋しいんだろう、と言うストレートな“NIGHT AND DAY”、ちょっと意味深でsexyなイメージもする“I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN”“LOVE FOR SALE”、ヘレン・メリルの名唱で知られる“YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO”などがすぐに頭に浮かんで来ます。

 そして、好きな曲は数あれど、中でも甘くせつない“EVERYTIME WE SAY GOODBYE”はもう格別!。もしCD-SHOPに出向いて、偶然にも手に取ったアルバムにこの曲が入っていようものなら、何も迷わず無条件に買ってしまうだろうくらいに大好きな曲なのです。

 コールの楽曲が好きな人って、その軽妙洒脱かつロマンティックなイメージに惹かれるところが大きいと思うのです。ですから実際彼の曲は女性ボーカリストのレパートリーとされるケースが多く、インストゥルメンタルでの演奏でも、例えばピアノ・トリオのアルバムならバラッドで1曲はポーター作品を、なんて具合にスイートなアクセントとして使われることが多いように思います。逆にそんな点がハードボイルド路線が好きなジャズ・ファンには軟派に映るらしくて、敬遠されている向きもあるようですね。

 僕もそんなスイートなイメージのポーターが好きでした。でも彼はそんなロマンティックな楽曲のすべてを、男女がともに過ごす甘い時間や異性に対するせつない思いを募らせて書き綴っていた訳ではなかったそうなのです。


 この映画について、特に何のインフォメーションも持たずに観ていた僕は驚きました。コールは同性愛者だったと言うのです。冷静に考えれば、ショー・ビズ界にその手の話は数多有るので、大して驚くべき事でも無いのかも知れませんが、彼がそうだったなんて思いも寄らなかった。

 人の性的嗜好について、他人がとやかく言うものでは無いとは重々思うのですが、オトコがオトコに恋をする、と言うのは僕には到底理解出来ない世界のオハナシです。ああ、僕がずっと好きだったこの曲達は、コールが男の恋人に向けて愛を囁く調べだったのかしらん・・・(苦笑)。

 この映画は、コールと妻リンダとの愛が主軸に物語が描かれているのですが、これが一また筋縄ではいかない。基本軸がちょっと普通とは違っている愛の物語なのです。

 リンダは前夫から暴力的な虐待を受けて離婚していた為、一般の男女関係とは異なる価値観を8歳年下のコールに見出したようで、彼がホモセクシュアルであることを知った上で彼と結婚したそうな。より深く精神的に結ばれていれば、お互いに「独立したカップル」として成立するのだとコールはリンダに諭されたのだとか。

 ふたりの生家はともに裕福で華麗な上流階級。まさに「シャンパンとキャビアの日々」を地で行く社交界の花形としてパーティ漬けのゴージャスな暮らし。その享楽の中で、リンダを先に帰しては次々と様々な男性と逢瀬を重ねる自由奔放なコールの姿に、僕が共感出来るものは何も有りません。リンダも寂しさを感じつつ、前夫の暴力にトラウマを感じてコールに男性を求めないのだろうか、彼を強く責めたりはしません。

 解りにくい物語が淡々と進行するうち、僕の中で彼の楽曲に対して抱いていたイメージや想い出が急に色褪せて行くような気持ちにおそわれて、なんだかとても複雑な気持ちになって行ったのです。離れそうな気持ちを繋ぐため、ふたりがお互いの子供を欲していた、と言うエピソードが唯一救いでしたねぇ・・・。

 その後、コールは落馬した事に因って両足の自由を失います。上流階級、落馬、足の怪我で人生が暗転・・・。(これってまさにロートレックの人生と同じではありませんか。)

 医師の両足切断の診断を妻として拒み、コールの支えに成る可く心を砕くリンダ。粋人として死にも等しい絶望を味わうコール。

 とても1回観たくらいでは、彼等の心の機微は僕には掴めない、が正直な感想です。


 この映画の「売り」が豪華なミュージシャンによるコール・ポーター・ナンバーの数々なのですが、こんな気持ちになると、映画も音楽ももう感情移入しては楽しめません。一歩引いて客観的に眺めるようになります。コステロが出てこようが、ダイアナ・クラールが歌っていようが何とも思えませんでした。最たるものは、この映画の最重要シーンとして、リンダが亡くなった時のシーンに“EVERYTIME WE SAY GOODBYE”が挿入歌として使われるんですが、なんだ歌っているのはナタリー・コールか・・・なんて具合にとっても冷めた気分。

 だって、この曲をリンダに捧げることで「五線譜のラブレター」って邦題を日本の配給会社のスタッフは考えたんだろうと想像出来るくらいに大事なシーンなんですよ。僕はナタリー・コールだって嫌いじゃないけど、彼女の魅力は声の軽やかさだと思うんです。この曲って、確かに軽やかなアレンジで歌われるケースもよくあるんですが、この映画のシチュエーションだったら、もっと表現力の深い声のボーカリストを選べば良いのに。コマーシャルに走った結果の人選だよなぁ、・・・なんてふうに思わずにはいられませんでしたねぇ。

 男だろうが女だろうが、大切な人を想う気持ちに差はないんだろうから、もっとピュアに人間の心をそのまま感じなくてはいけないのでしょうが、どうにもこの映画は僕には難しかったようです。6月にDVDが出るようなのでじっくり観直さないと、どうにもこうにも消化不良なんだな〜。いろんな思いが有るけれど、やっぱり彼の作品が好きなので、もっと人間コール・ポーターもきちんと知っておきたくなったワタクシなのでした。
五線譜のラブレター 特別編
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Janet Seidel Trio / DELOVELY
THE MUSIC OF COLE PORTER  昨年の夏、ウクレレを全面的にフィーチャーした『マナクーラの月』が日本で密かなブームと呼んでも良いほど評判となったジャネット・サイデルの新作がリリースされた。今回は副題「LIVE AT WOODFIRE 〜 The Music Of Cole Porter」とあるとおり、コール・ポーターの作品を集めて行った、彼女の母国・オーストラリアでのショーのライブ盤だ。 ・Artist : Janet Sidel Trio・Title : "DELOVERY... ...続きを見る
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内 容 ニックネーム/日時
今日レンタルショップで気になるCDを見つけたのですけど、yk2さんとこでレビューあったら読んでからにしようと思って・・・借りずに帰ってきました。(^^
ついでに「これも借りようかなぁ」と思ったこの作品のタイトルに目が留まりました。借りなかったのですが、なるほどそういうお話でしたか。有名な音楽家でゲイの方って、本当に多いですよね。ホロヴィッツというピアニストは偉大なピアニストである3大条件のひとつに「ゲイであること」を挙げてたりして・・・(^^;
<鶏と卵>みたいな疑問が浮かんできません?
Manbou
2005/09/05 21:48
Manbouさん、こんばんは。
この話題で鶏と卵って・・・(笑)。

偉大なピアニストである3大条件のひとつは「ゲイであること」ですか〜(苦笑)。キビしーですねぇ。
ピアノ弾けなくて良かったかも〜<負け惜しみ)。

実はまだこの映画はまだ観返していないんですが、コール・ポーターの実際の知人達の証言も交えた『YOU'RE THE TOP』と言うDVDを買いまして、映画では美しいストーリーに差し替えられているコールとリンダの「実際」もお勉強致しました。例の件も虚飾が無い分、真実は真実として聞けば、割と淡々と聞けるものだなぁ〜などと、妙なところで得心したりして(^^ゞ。
#近いウチに借りてこようっと。

それよりもですね、借りずに帰って来たCDが何だったのか、とっても気になってます(笑)。
yk2
2005/09/07 02:13
ふふ、ゴメンナサイ。名前忘れちゃったので、もう一度見てきました。借りようと思ったら出払ってた・・・)
シンガーはアン・サリーでした。
Soul Bossa Trioにいた人なんですって。
yk2さんの守備範囲?
Manbou
2005/09/08 23:08
それより、ホロヴィッツの言葉を間違えて覚えていたみたいです。本当にゴメンナサイ。
3大条件じゃなくて、「ピアニストは3種類しか存在しない」でした。すなわち「ユダヤ人とホモと下手くそ」だそうです。
私が言いたかったのは、偉大な芸術家の精神を持っていると同性に惹かれやすくなるのか、ゲイであることが偉大な芸術を生み出すのか・・・ってことだったんですけど・・・自分でもよくわかんなくなってしまいました。
↓こちらの方のブログを読んで、私の間違いに気づいたんです。ついでに「男でも女でもない感じ方を持っていて」ってことばが興味深いです。
http://diary.jp.aol.com/applet/pgunjttff/20050131/archive
Manbou
2005/09/08 23:25
Manbouさん:
 うむ〜、僕もいろいろ読んでみたくて、「ホロヴィッツ、ピアノ、ゲイ」で検索掛けてみましたが結構簡単に、バーンスタインが「アメリカのクラッシックはゲイが作った」なんて旨の発言をした等と記してある個人の方のwebに当たってしまいました(苦笑)。ピアノをたしなまれる方は繊細な人物が多い所為でしょうか。それともピアノが繊細な神経育みその方向へと向けてしまうんでしょうか・・・、ってこれが鶏と卵のハナシ?(笑)。

 話変わって、アン・サリーはとってもお薦めですよ〜!。出来れば今週末、1枚ブログに書きたいかも。
yk2
2005/09/09 23:03
そうそう、そういうハナシ(笑)
茂木大輔さんの「オーケストラ楽器別人間学」では、どういうタイプの人がどういう楽器を選ぶか&楽器によってどんな性質が育てられるか・・・っていうのが読めます。(ピアノは出てませんが)
やっぱりピアノが育む性質ってあるのかも・・・

アン・サリー楽しみにしてます♪
Manbou
2005/09/10 05:44
すみません、週末は間には合いませんでした(滝汗)。>アン・サリー

それにしても、よく考えてみればjazz系のアーティストって、その手のハナシ、あんまり聞かないなぁなんて思ってみたりして。
#もういい加減やめとこう(^^;。
yk2
2005/09/13 01:20

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